研究概要 |
産業製品に含まれる,あるいは生産現場における制御システムは複雑化の一途をたどっており,PL(製造物責任)問題など安全性が注目されている今,その故障に対する安全対策はもはや不可欠である.本研究では,故障時の機能維持という信頼性の観点とそのシステムにかかわる人間にどのような影響が及ぶかという安全性の観点の区別を明確にし,複数個分散配置されるコントローラ,あるいはそれぞれが駆動する制御系統間の協調作用という面から制御システムの安全性を定量的に考察した. まず第一に,複数のコントローラ(制御系統)が出力エネルギー面で負担・負荷を分担することは, (i)制御システム内の信号の大きさ(ii)制御システム内でアクチュエータが消費するエネルギー量がコントローラやアクチュエータの故障時でも制御されるという観点から,制御システムの暴走やそれによる人的被害の発生の防止に有効であると考え,そのような高度な協調作用の実現方法を確立した.第二に,現実にもっとも発生しやすくかつ重大な影響をもたらすことの多いセンサ故障に関して,上述の結果を拡張した.すなわち,同種のセンサを複数個冗長配置し,その間に協調作用を実現することで,その一部の故障時においても上記(i),(ii)が極端に大きくならないようする方法を確立した. 本科学研究費補助金により購入したワークステーションを用いることで膨大なデータを扱った数値実験が可能となり,以上の研究成果の有効性を確認することができた. なお,第一の研究成果は"Advanced Cooperation among Compensators"と題して国際会議The 35th IEEE Conference on Decision and Controlに,第二の研究成果は"Reliable Stability against Sensor Failures in Passive Redundancy"と題して国際会議1996 International Conference on Industrial Electronics,Control,and Instrumentationに投稿中であることを付記しておく.
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