まず最初に、7自由度冗長ロボットアームの高速高精度制御法の開発を行った。ロボットの制御では慣性変動や重力、摩擦力などにより影響を受けるため、従来は計算量が多く、未知のパラメータ変動に対してロバストではない逆動力学が用いられてきた。ここでは、簡単な計算で外乱を推定できる外乱オブザ-バを用いて関節座標系で線形系を実現した。ロボットの関節数が増加すると座標変換で用いる逆運動学の計算量が増加する。そこで、静力学の関係式を用いて座標変換を行う方法を採用した。この方法は作業座標系での慣性行列を用いるが、変動が大きく慣性行列の計算量が多い。そこで、外乱オブザ-バを作業座標系でも用いることで、慣性の計算を低減することができた。冗長ロボットの制御では関節の自由度が作業座票の自由度よりも多いため様々な姿勢を実現することができる。姿勢を変化させるためにヌルスペースに指令を与えなければならないが、通常の方法は計算量が多くなっている。ここでは、作業座標系の外乱オブザ-バを用いることでこの計算量を大幅に低減した。 開発した冗長ロボットの制御プログラムを用いて、双腕ロボットの制御プログラムの開発を行った。双腕ロボットはロボットの先端で物体を把握した状態で制御を行った。このとき、物体に対して任意の内力を加え、物体を指定された軌道上で移動させることがシミュレーションにより実現された。 人間に近い柔軟な動作を実現するために、カメラを使ったビジュアルサーボのプログラムの開発を行った。これは、ロボットの先端にカメラを取り付け、対象物体の特徴量を基に制御を実現している。現段階は、片手で行っており、双腕ロボットへの適用を行う予定である。
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