多くの粒状体に置いて粒子同士の接触形状は面積の無視できない面であるが、現在の数値実験に置いては面積を持たない点と仮定している。従来の接触を点として扱う個別要素法による要素試験ではピーク応力比は実験より低く、粒子形状の効果を取入れても説明がつかなかった。ここで、粒子が面である場合には力だけでなくモーメントも伝達される。材質が柔らかい場合には接触面積は大きくなり、難い場合でも表面の凹凸が激しければモーメントが伝達されうると思われる。今年度は粒子間でのモーメント伝達の効果を把握する研究を行った。 まず従来の個別要素法での要素間力の扱いに加えて要素間モーメントの伝達を要素間に回転バネを想定することで表現した。次に要素間の接線方向相対変異をころがり成分と滑り成分に分離し、ころがりにより接点でのモーメントが発生すると考えプログラムを作成した。数値実験として光弾性材料にパラメータを合わせた2軸圧縮数値試験を行い、実験結果との比較を行った。従来のモーメントの発生が無い場合、粒子の回転を完全に拘束する場合、モーメント伝達を考慮する場合の3通りを想定したところ、せん断帯の形状、柱構造の持続性、せん断帯付近での柱の屈曲の形状、応力、ひずみ関係、せん断帯内での粒子回転の方向性など、いままで再現できなかった特性が、モーメント伝達を考慮したモデルにより再現される結果が得られた。以上より、粒状体の強度特性・変形特性に置いて粒子接点でのモーメントの伝達すなわち偶応力が重要な役割を担っている可能性を指摘する事が出来る。なお、計算には購入したパーソナルコンピュータを用いた。
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