| 研究概要 |
超音波探傷法により,欠陥の位置だけでなく,大きさや形状等を把握するためには,観測された弾性波の詳細な検討が必要であり,このために弾性波動解析は必要不可欠であるが,膨大な計算量を要する.そこで,本研究では,発振器,受振器と欠陥を含めた局所領域のみを解析対象とし,これ以外の領域を有限要素分割の対象から除き,弾性波動解析法の効率化を図れるような無限要素の開発を行った.
有限要素法で用いられる特殊要素である無限要素は既に考えられている概念であるが,本研究では,時間領域で解くよりも精度の良い,本研究者が過去に発表した,ラプラス変換と有限要素法を組み合わせた方法に適用可能な無限要素の開発を行った.このとき,要素剛性方程式を求めるときの半無限区間を対象とするエネルギー積分を容易に行えるようにするため,有限要素法でよく用いられるパラメトリック写像の変換式に,ラプラス変換した像空間での無限弾性体に対する放射平面波,円筒波や球面波などの解析解の漸近展開式を用いて,解の精度と計算効率の検討を行った.
この無限要素を用いた解析の精度を上げるには,無限要素の自由度を増やす,すなわち,変位を表現する節点数を増やすことと,無限要素と有限要素の仮想境界線を波動が複雑に変化する欠陥近傍から遠ざけると良いことを種々の数値計算から確認した.
このラプラス変換と有限要素法を組み合わせた解析法に,本研究で開発した無限要素を組み合わせると,従来の有限要素法よりも効率よく局所領域の弾性波動解析を行うことができる.
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