研究概要 |
摩擦接合継手の応力特性を解析的に評価するにあたり,継手部の離散化を行った.有限要素としては,ボルト孔の影響を加味するためIsoparametric Elementを適用し,塑性時における急激な板厚変化に対応するため,3次元中実体を対象とした20接点セレンディピティ型の要素を採用した.母材-添接板,添接板-座金など継手が有する全ての接触面の挙動を忠実に再現可能なContact-Friction Interface Elementを開発した.このInterface Elementは,接触面の力学状態に応じて固着,すべり,および剥離現象を表現することができる.また,解析対象となる継手を組み上げるまでのプロセスについて検討し,ボルト初期軸力の導入法,有効摩擦面の評価法,添接板による補剛効果の評価法等に関するアルゴリズムを開発した.また,これらアルゴリズムの導入によって,摩擦接合継手において問題視される軸方向力の増加にともなうボルトの軸力抜けが考慮可能となった. 上記解析手法を用いた研究成果として,摩擦接合継手の応力特性,部分すべり機構に対する検討を行った.主な知見として,ボルト軸力の導入や荷重載荷にともなうボルト孔近傍での局所的降伏が,継手の剛性低下に与える影響は僅少であること,降伏限界以降の塑性変形が部分すべり現象に大きく関与する点などを明らかにした.また,母材・添接板降伏強度比,母材降伏・すべり強度比にもとづく限界状態区分により,継手の崩壊形式を推定可能であることを明らかにし,すべり限界,降伏限界に関する設計式の提案を行った.1995年の建設省の鋼道路橋設計ガイドライン(案)で採用された,主桁の断面変化を,フィラープレートの利用により継手部において行う指針に対して,現場サイトからの要望により,フィラープレートの材質に関する検討を行った. 可視化シミュレーションについては,現在のところ,静的な荷重状態に対するシステムまでは構築できている.
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