本研究では不飽和土用の剛板多軸型3主応力制御試験機を開発した。この試験装置の特徴は、不飽和土の試験で問題となる供試体の体積変化量(体積ねずみ)が、剛板間の距離変化から求めることができる点である。1つの主応力方向である一対の剛板にセラミックディスクを埋め込み、この剛板の周りをアラミドフィルムで密閉する形式を採用した。これによりフィルムに囲まれた内部に空気圧を加え、供試体内に与えるサクションの制御が可能となる。また、アラミドフィルムは柔軟であるので、剛板により供試体に外応力を与えることができる。この試験装置の欠点としては、供試体内部からの排水がセラミックディスク以外の所へも(例えばフィルムと載荷板のの間など)なされることで、このため排水量の測定は不正確なものとなる。また、供試体サイズ(10×10×10cm)を考えるならば、サクションの作用が供試体内部で均一にとなっているかが問題とも考えられる。しかし、このことは試験後の供試体の含水比分布がほぼ一様であることから、ほぼ満たされていると考えられる。 現在提案している拡張SMP理論の不飽和土への適用性を、締固めた不飽和シルト質粘土供試体を用いて検討を加えた。実験の応力経路としてはサクションと平均有効主応力が一定の条件の下で、π面上の角度θが一定のせん断試験を行った。せん断時の拡張SMP上での応力比〜ひずみ増分比関係は、π面上の角度θに関わらずユニークな関係に整理された。また、破壊時の応力条件も拡張SMP理論に基づく予測値に近い傾向を示した。さらに、せん断時の応力〜ひずみ関係も拡張SMPを基にした弾塑性モデルによる予測と近い関係を示した。
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