わが国の都心部は歴史的に鉄道ターミナルを中心に形成されてきた。このため、自動車への依存が少なく、かつ活性度の高い都心空間を効率的に実現するためには、鉄道ターミナルと徒歩空間の連携を配慮し、周辺の都市開発を一体化した、利用しやすく快適な都心空間を整備するのが日本流の都市成長管理策として現実的である。これは、交通施設と周辺都市施設の一体的整備(ジョイントディベロプメント:JDと略記)として整理できる。本研究ではこのJD手法などの日本流の成長管理手法を具体的に提案することを目的して分析を行い、以下の成果を得た。 1)車依存の少ない都市デザインを実現するための基礎情報として、既存の都市成長管理政策とJD手法の考え方及び具体的内容について調査を行い、整理を行った。また、現在のわが国の各都市における交通手段選択の特性をデータ分析した。 2)様々な成長管理手法実施に伴う都心への発生集中交通量や交通機関分担率の変化を、簡便な評価モデルを新たに提案して分析し、大規模再開発による車への依存度がどのように変化するかを検討した。 3)様々な都市交通機関の守備範囲を検討し、都市整備と交通機関整備が行われた際に生じる来街者の変化を検討した。 4)「地域の成長を阻害する」と誤解されやすい成長管理政策を、地域コミュニティの中でどのように育くんでいくかについて、制度的な課題を指摘した上で改善のための提言を示した。
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