研究概要 |
本研究の目的は,シリコンゴムを用いて様々な形状の山地形模型を作成し,振動台加振実験と2次元有限要素解析を通して,その振動特性を把握することであった.一方,兵庫県南部地震で生じた「震災の帯」の解釈として,六甲山の断層活動によって生じた第四紀層基盤面の不整形さの影響が指摘された.そこで,本研究では,軟質地盤の両端を傾斜させた山地形モデルとともに,一端をほぼ垂直面で硬質基盤に密着した神戸モデルを作成して,実験及び解析を実施した.なお,補助金により購入した加速度計は,振動台実験で基盤模型上の応答波形の計測に使用した. 本研究によって判明した研究成果を以下にまとめる. 1.端が傾斜した山地形モデルの振動モードは,山頂にあたる中央の振幅が増大することが示された.この結果から,ノースリッジ地震でのTarzanaの小高い山頂で記録された1.82gの高加速度は,山頂という地形効果が要因の一つとして考えられることが確認された. 2.一端がほぼ垂直面で基盤に密着した神戸モデルでは,密着部分から自由端にかけて振幅が増大する振動モードが示された.しかし,「震災の帯」のような平野の中央部に局地的な増幅される地域は確認できなかった.従って,兵庫県南部地震の「震災の帯」が生じた理由は,地盤を単純に弾性体でモデル化した実験では解明できず,沖積層の液状化現象などの非線形挙動の影響が強いことが推定できた. 3.沖積層が長く続く方向を洪積層で拘束された場合,沖積地盤の中央部で振幅が増大する振動モードになることと,沖積地盤全体の固有振動数が高くなる,ことが確認された。 4.同じ深さの沖積地盤上の振動特性でも,沖積地盤の水平方向の境界形状によって大きく異なり,特に洪積層による拘束面が近いと固有振動数が高くなることが確認された。
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