可動翼を利用して風圧・風向を変化させ、風の力により構造物の揺れを制御する制振システムであるアクティブフィンシステムの実用化ための課題、特に有効な2方向制振を行うための制御アルゴリズムの開発についての検証を行った。 1.実験装置 (1)振動方向1自由度型構造物模型---構造物模型の振動方向と風向との関係をパラメータとし、アクティブフィンによる制御効果の変動を検証した。 (2)振動方向3自由度型構造物模型---水平2方向の振動成分とねじれ成分をもつ、より実構造物に近い形式の構造物模型に対して、風による揚力・抗力を有効に利用した2方向制振方式についての検証を行った。 2.可動翼の受ける受風圧の特性 (1)可動翼の種々の形状に対する翼の迎角と受風圧との関係について準静的な特性を調べた。 (2)可動翼の駆動にともなう受風圧の変動の動的な特性を調べた。 3.制御装置 (1)単一可動翼による制御システムの検証。 (2)補助可動翼を利用した制御システムの検証。 4.制御アルゴリズム (1)可動翼周辺の風の流れの変化と、可動翼の受ける受風圧の変動とをマクロな物理現象としてモデル化し、この力学的モデルに基づく制御力生成メカニズムを考慮した制御アルゴリズムを構築した。 (2)振動方向3自由度型構造物モデルに対して適用可能な、より実際的な2方向制振アルゴリズムを構築した。 5.制御システムの検証 (1)実構造物の風による振動の実地調査を行い、データを採集するとともに、実機レベルの制振装置による制御効果のバックデータを得た。 (2)風洞での、縮小モデルを用いた風振動制振実験を行うことにより、アクティブフィンの2方向制御アルゴリズムを、より最適なものとして修正した。 (3)可動翼による制御力の力学的モデルをもとに数値シミュレーションを行い、実験結果を検証した。
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