研究概要 |
異種構造部材で構成される混合構造門形フレームに地震力に対応する水平力を載荷する実験を行った.試験体は小鉄骨を挿入したSRC柱とH形鋼はりからなる骨組4体およびRC柱・H形鋼はりからなる骨組2体である.実験変数は軸力比であり,柱がSRCの試験体には,コンクリート断面の圧縮耐力に対する軸力比として0.3(SRC/S-3C),0.5(SRC/S-5C)及び,SRC柱の圧縮耐力に対する軸力比として0.3(SRC/S-3SRC),0.5(SRC/S-5SRC)を採った.柱がRCの試験体については,コンクリート断面の圧縮耐力に対する軸力比として0.3(RC/S-3C),0.5(RC/S-5C)を選んだ. 載荷実験の結果,軸力比が0.3のRC柱・H形鋼はり骨組は変形能力,エネルギー吸収能力に優れた挙動を示した.軸力比が0.5の試験体では,層間変形角が2.5/100rad.で柱脚が破壊した.一方、小鉄骨を挿入したSRC/C-3C,SRC/S-5C、SRC/S-3SRCは、多少逆S字形の履歴性状を示したが変形能力の点では優れている.小鉄骨が断面の中心にあり,曲げに抵抗せず,軸力に抵抗しているため逆S字形の履歴性状を示したものと考えられる.軸力比が0.5の試験体SRC/S-5SRCは,高軸力にも関わらず,エネルギー吸収能力,変形能力に優れた性状を示した.さらに小鉄骨を挿入したSRC柱を用いた試験体はRC柱試験体に比べ,軸方向縮みが抑制された. 実験の結果,以下の結論が得られた.1)RC柱・H形鋼はりからなる混合構造骨組は,柱のフ-プ量を0.6%程度確保しておけば耐震的に優れた性能を示す.しかし,軸力比が大きければ,変形能力は劣る.2)小鉄骨挿入SRC柱・H形鋼はりからなる骨組は,軸力が小さければ,逆S字形の履歴性状を示すが,高軸力下では,柱の材軸方向縮みもRC柱に比べ小さく,優れた耐震性能を示す.
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