【目的】 一般環境における温度計測で最も広く使用されている熱電対/データロガーシステムの各チャンネルの温度出力値の特性についての検証、さらにサーミスタ温度計による温度出力値の比較を行い検討をした。 【方法】 検証対象としたデータロガーはA社1種3機、B社2種3機、C社1機、D社1機、E社1機である。熱電対は線型0.3mmφ、長さ約10m、平行2芯ビニル被覆のT型熱電対を用いた。サーミスタ温度計はF社2機を用いた。測温部は厚さ10mmの断熱材(プラスチック製発砲ボード)で作ったBOXの中に設置した内容積70リットルのポリバケツ内の空気または水である。ロガーは本学室内気候実験室中央に、測温部は実験室外の廊下(モニター室)に設置している。検証用ロガーと比較するために参照機をモニター室に設置し、測温部の温度、断熱BOX内の気温、ロガー周囲の気温を測定した。参照機はあらかじめ気象庁検定の標準温度計と較正実験を行っているが、対応・直線性はきわめて良好である。 【結果】 1.熱電対製作者による相違・瞬間値および数分間の平均値を用いてそれぞれt検定を行ったが、製作者間に有意な差は認められなかった。2.出力値の変動特性 1部のデータロガーとサーミスタ温度計は定常環境、非定常環境にかかわらず検証用ロガーとほぼ同様の測定値が得られた。中には定常環境下においてサンプリング値の変動が大きいデータロガーがあるが、これは電気的ノイズによるものと考えられる。特に、水温測定には配慮が必要である。しかし、このような場合でも10数個のサンプリング値の平均をとることによりチャンネル間の測定値のばらつきはかなり解決できるこが示唆された。また、定常環境で良好な結果を示したものでも、非定常環境では周囲気温の変化を受けるものがあった。これらは各端子温度と基準接点温度の相違に基づくものであり、チャンネル数が多くなった場合には基準接点も増設するべきである。
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