本年度は、画像データベースを作成する上で、基礎となる研究を行った。研究の概要は以下の2点に要約される。 (1)様々な街路景観のサンプルをスライド写真として収集した。サンプルとした街路景観は、銀座、青山、丸の内の現代的な街路景観と、川越、登米、喜多方、会津若松などの伝統的建物が多く残る街路景観である。現代的な街路景観は1kmに渡る範囲を50mおきに順次サンプリングし、詳細な資料を作成した。また、一部の地点では、昼景、夕景、夜景のように時刻や天候によって異なる様相を示す景観をサンプリングした。伝統的な街路景観は町並みとして充分な長さを持つものが残されていないため、比較的、保存のよい部分を抽出した。 (2)画像データベースを作成する際の理論的側面として、画像データの圧縮方法について検討を行った。データ圧縮の方法は情報保存圧縮方式と情報非保存圧縮方式に大別できるが、画像解析のような詳細な研究を行うためには画像が劣化しない情報保存圧縮方式を用いる必要がある。しかし、この方式は、非保存方式に比べて画像データは充分にコンパクトにはならない。通常のデータ検索や大量の画像データを通信回線を通じて転送する場合には、情報非保存圧縮方式でも充分に利用に耐えると思われる。 今後の課題としては、収集した画像データを基にして、多くの研究者に共有可能なデータベースを構築する方法を検討することが重要である。
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