研究概要 |
ジルコニア固溶体における相安定性、相関係、相転移に関する研究において、組成が均一な試料の合成は非常に重要である.(ZrO_2)_<1-x>-(RO_<1.5>)_x,(HfO_2)_<1-x>-(RO_<1.5>)_x固溶体をアーク溶解法あるいは焼結法により、(ZrO_2)_<1-x>-(CeO_2)_x固溶体を仮焼した後に約1650℃で焼成することによりあるいは錯体重合法により作製した.ジルコニア固溶体の相転移においては酸素の役割が重要である.正方一立方などの相転移における酸素の挙動、即ち位置及び振動状態をラマン散乱,X線回折および中性子回折によって評価した。リ-トベルト解析を行い、酸素の原子座標と振動パラメータを得た。一連の希土類酸化物を添加するとRO_<1.5>濃度が2-14%の範囲で400反射に分裂が観察された.一方,これより高い濃度では400反射に分裂が見られないのにも拘わらず、正方相のみに特有なラマンバンドが観察された.これは軸率が1に殆ど等しい正方相(t′′)が存在していることを意味している.このように様々な希土類を添加したときにt′′が生成することを報告した例は今まで無く,本研究の成果は非常に意義深い物となった.また,ハフニア(HfO_2)_<1-x>-(RO_<1.5>)_x固溶体において軸率が1に殆ど等しい正方相(t′′)が存在していることを報告したのはおそらく初めての例である.また,t′′の生成する範囲はドーパントの種類とホストの種類に依存せず,14-18モル%であることが明らかになった.
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