研究概要 |
ペロブスカイト型構造を有するLaNiO_3及びNdNiO_3を合成し、これらを酸素ゲッターのAlと共に封入し、真空中平衡酸素分圧下で穏やかにトポタクティックに還元した。以上のように作成した還元生成物の酸素含有量と結晶構造、Niの電子状態について調べた。La系の場合、LaNiO_x表記で、x>2.70の組成範囲では菱面体晶系ペロプスカイト型に帰属される回折図形を示すが、2.60<x<2.70付近で斜方晶系に転移し、x【similar or equal】2.50で基本ペロブスカイト型格子の2x2x2の超構造を有する単斜晶系La_2Ni_2O_5型構造をとることがわかった。残念ながら斜方晶系相は超格子で指数付けできなかったが、酸素含有量から考えて、この相はLa_3Ni_3O_8と考えられた。また、Nd系の場合、NdNiO_x表記で還元反応はx【similar or equal】2.30付近まで進み、最終還元生成物は基本ペロブスカイトの3x1x3の超構造を有する単斜晶系Nd_3NiOP_7であることがわかった。即ちLaをイオン半径のより小さなNdに置換することにより、還元最終生成物の酸素含有量を2.50から2.33にまで低下させることができた。x【greater than or equal】2.60ではペロブスカイト型構造をとり、x【less than or equal】2.50ではNd_3Ni_3O_7型に帰属される回折図形を示した。2.50<x,2.60では両相の混合状態であった。La、Nd両系の還元試料のNiK-XANESスペクトルより、すべての試料中には八面体6配位と平面4配位のNiのみが存在していることが明らかになった。Ni2p_<32>領域のXPSスペクトル解析より、両系ともペロブスカイト型構造をとっているときにはニッケルの電子状態は3-αで表されるような混合原子価状態であることがわかったが、還元の進み酸素イオン空孔が多量に存在するようになると、これらが基本ペロブスカイトの[110]方向に秩序配列して超構造をとり八面体6配位位置に存在するNi^<3+>と平面4配位位置に存在するNi^+に不均化することが明らかになった。
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