研究概要 |
近年,磁歪現象を利用したアクチュエータが開発されつつあるが,より過酷な条件で使用するためにはキュリー温度が高い酸化物薄膜を用いる必要がある。本研究では比較的大きな磁歪を示すCoFe_2O_4に注目して,酸素濃度を比較的制御しやすいrfマグネトロンスパッタ法により成膜し,スパッタ条件と結晶構造や組成などの関係について調べた。 市販のCoFe_2O_4粉末を焼結してターゲットとし,石英基板上にr.f.マグネトロンスパッタ装置により成膜した,その際の基板温度,r.f.出力,酸素ガス分圧の条件の違いによる薄膜組織の変化をXRD,SEM(EDS)およびTEMで分析した。 その結果,基板温度が,1073K以上の場合,スパッタガス中の酸素分圧やr.f.出力に関係なくCoFe_2O_4膜が得られた。基板温度が873K以下の場合には膜に金属色の光沢があり,X線の結果からもCoFe_2O_4の反射はみとめられず,金属で成膜していることがわかった。 1073Kで得られた膜は表面の凹凸が激しく,また中に気孔が多く認められ,密に膜を得ることが,これからの課題となる。
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