研究課題/領域番号 |
07750784
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 貴由 大阪大学, 工学部, 助手 (30243182)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 疲労変形 / TiAl / 応力振幅制御 / 塑性ひずみエネルギー / 変形双晶 / 層状組織 / 転位 / 金属間化合物 |
研究概要 |
TiAl(γ)相とTi_3Al(α_2)相からなる2相層状TiAl化合物は、新しい軽量耐熱材として期待されている。近年の精力的な研究により、その通常変形挙動、破壊挙動は明らかになりつつある。特に、我々は層状組織を一方向に制御した特殊な結晶(以下、TiAl-PST結晶と呼ぶ)を用いて系統的な研究を行った結果、以下の知見を得た。(1)TiAl化合物の力学特性は層状組織に対し強い異方性を示す。(2)γドメイン内で活動する転位のタイプならびに変形双晶とともに、少量存在するα_2相の変形モードの異方性が変形挙動を支配する。(3)層間隔、γドメインのサイズ、α_2相の体積率、分布といった微細組織と力学特性の間には定量的な相関関係がある。そこで本研究では、以上の変形挙動に関する基礎的知見を踏まえ、実用化にとって不可欠である定応力下での疲労現象を微視的ならびに巨視的立場から調べた。 その結果、TiAl-PST結晶の疲労特性は、通常変形の場合と同様に結晶方位に強く依存するとともに、応力振幅に対する特異な依存性を示した。例えば、荷重軸を層界面に対し平行方向とした場合、応力振幅の増加にともなう塑性歪みエネルギーの増加は単調ではなく、応力振幅430MPaを極大値とするような特異点を示した。塑性歪みエネルギーは材料内部における転位の増殖、運動等により消費されるエネルギーに対応し、疲労現象を理解する上での重要な手がかりとなる。微細組織観察の結果をもふまえると、この特異なエネルギーの吸収帯は、TiAl相内を活動する変形双晶の活動に起因するものであり、材料設計をする上で大変重要であることが明らかになった。さらに、特異点近傍では、特定のTiAlドメイン表面に約100nmの段差を有する突き出し(extrusion)も認められ、ここでの局所的な応力集中が疲労破壊へとつながるものと考えられた。
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