研究概要 |
本研究では,QスイッチNd:YAGレーザー加工における,レーザー光と金属表面との相互作用を明らかにすることを目的とし,光音響分光法により金属表面におけるエネルギー吸収量を評価した。 YAGレーザーの基本波(波長:1064nm,パルス幅:8ns),第2高調波(波長:532nm,パルス幅:4〜6ns),第3高調波(波長:355nm,パルス幅:4〜6ns)をAl,Cu,Zn試料に照射した。エネルギー吸収量は,レーザー照射時に金属試料内部を伝播する光音響信号(PA信号)の強度により評価した。 結果を要約すると次のようになる。 1)低いエネルギー密度ではPA信号強度は一定であった。金属表面が溶融し出すエネルギー密度(しきい値)を越えると,エネルギー密度の増加にともないPA信号強度は急激に増加し,最大値に達した。液体金属の光吸収は固体金属よりも高く,PA信号強度の増加は液体金属のエネルギー吸収に対応しているといえる。それ以上の高いエネルギー密度では,エネルギー密度の増加に従いPA信号強度は緩やかに減少した。 2)一般にレーザー波長が短くなるに従い金属の光吸収率が高くなる。これに対応して,レーザー波長が短くなるに従い,しきい値および最大値を示すエネルギー密度は低くなった。 3)エネルギー密度に対するPA信号強度のふるまいと,金属除去体積との間には相関関係が見られた。
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