研究概要 |
超臨界状態の二酸化炭素を直接モノマー成分として、比較的簡単な化合物であるエチルビニルエーテルとの共重合反応を数百cm^3スケールの高圧反応器を用いて行った。その結果、比較的弱いルイス酸触媒Al(acac)_3の存在下で、これまで報告された他の二酸化炭素を用いた共重合反応の生成物よりもかなり二酸化炭素導入率の高い共重合体を得ることができた。また、NMRの分析結果から、共重合体中への二酸化炭素の導入形式はケト基とエーテル基の組み合わせであることが分かり、これより、本共重合の反応経路も以前報告された経路に基づきβ-ラクトンを中間体として起こっていると考えられる。 また、生成した共重合体の収量や二酸化炭素導入率に及ぼす反応時間、温度、圧力などの種々の操作因子の影響を検討したところ、収量は温度や圧力に対して極大値が存在し、二酸化炭素導入率は温度を低くし、圧力を高くすることにより50%近く(ほぼ交互共重合)まで増加させることが可能であることが分かった。収量に極大値が存在するのは、この反応で超臨界状態の二酸化炭素が反応物と溶媒の2つの役割を同時に果たしているため、両者にとっての最適条件が異なっていることが原因であると考えられる。さらに、この共重合反応は触媒を用いない場合でも収量が半分程度まで減少するものの進行し、また、反応器の内壁も若干ではあるが触媒の役割を果たしていることが分かった。 以上の内容は、化学工学会第28回秋季大会('95 9/27〜29)、第5回東北大学反応化学研究所研究発表会('96 11/6,7)、第7回女性科学者フォーラム女性科学者シンポジウム('96 1/27)で既に発表しており、また、(財)大阪科学技術センター機関紙「the OSTEC」'96 4月号にも掲載予定である。
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