現在もみ殻は農業副産物として世界で年間1億トン生産されているが、その数%しか有効に利用されていない。もみ殻は、セルロースとシリカからなる貴重な天然資源であることから、本研究では、もみ殻から肥料吸着用活性炭の製造を目的とした。またもみ殻は嵩密度が非常に小さく、その取り扱いが非常に困難であることから、熱間成型法による高密度化を行った。 1.熱間成型法による高密度化 もみ殻に50Kg/cm2の機械的な荷重をかけて200℃〜300℃に昇温した結果、見かけ密度が0.1g/cc程度であったものが1.2g/cc程度まで増加した。この様な簡便な方法でもみ殻の体積を1/10以下にすることができたので、その後の処理工程における装置の小型化に大きく寄与できるものと考えられる。 2.肥料吸着用活性炭の製造 肥料吸着用活性炭には比較的大きい細孔(D>2nm)が必要である。もみ殻を窒素気流中500℃〜900℃で処理した炭化物のBET表面積は、200〜300m2/gと小さい上に細孔はすべてD<0.5nmであったが、脱灰処理をすることにより500〜600m2/gに向上し、かつ細孔径も1〜10nmと広く分布させることができた。次にリン酸ともみ殻を混合させた後に600℃で熱処理した(リン酸賦活法)。この賦活法によって得られた炭化物の細孔径は脱灰後の炭化物と同様に広く分布している上に、肥料となるリン酸も残留しているために肥料吸着用としては非常に有効であると考えられる。この試料について、汚泥を吸着させたところ、600℃炭化物と比較して非常に多くの汚泥を吸着することがわかり、肥料吸着に適していると考えられる。このようにリン酸賦活法を用いることにより、もみ殻から土壌改良剤として肥料吸着用に適した活性炭を製造することができた。
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