研究課題/領域番号 |
07750872
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物・生体工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
王 征宇 東北大学, 工学部, 助教授 (10213612)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 光合成 / 光エネルギー / バクテリオクロロフィル / 会合体 |
研究概要 |
本研究では、主として緑色光合成細菌Chlorobium tepidumを用いて、クロロゾームアンテナ並びにそのモデルであるバクテリオクロロフィル(BChl)人工会合体構造の解明を目的とする。これまで、分光学的手法により、クロロゾームはアルコール処理によって異なる形態構造を形成することが示唆されている。今回我々はヘキサノール処理によるクロロゾームの形態変化とその分光学的挙動との関連、さらにクロロゾームのモデルとなるBChl c人工会合体の構造を各種物理化学的手法を用いて調べた。 クロロゾームはヘキサノール処理によって吸収スペクトルがほぼ可逆的に変化することがわかる。未処理のクロロゾームは742nmに吸収ピークをもち、59mMヘキサノールで処理すると約670nmにブルーシフトする。これは有機溶媒中におけるBChl c分子モノマーの吸収位置に対応する。その後、ヘキサノール濃度を29mMに薄めると吸収スペクトルはほぼ元の位置に戻る。1-butanolやphenolについても同様の結果が得られた。この過程において、電子顕微鏡の観察によるとクロロゾームは最初米粒の形から細長く伸びた針状の形となり、最後の処理では不規則な形の球状に変化した。同じ試料を動的光散乱で測定すると粒径分布が大きく変化することがわかった。電子顕微鏡の結果に対応して、未処理のクロロゾーム粒子は平均流体力学半径が約105Åであり、均一な形状と粒径をもつのに対して、アルコール処理すると平均粒径が一旦大きくなり、その後の処理では若干戻るが、粒径分布の幅が増え続けることがわかった。これらの結果は明らかにアルコール処理によって形態学的に不可逆な変化が起きていることを意味する。 さらに、中性子散乱及び放射光X線を用いた実験からは、溶液中でのBChl会合体は数10-200Å程度の大きさをもち、また固体状態の会合体は長距離秩序構造を有することを初めて突き止めた。現在その結果の解析が進行中である。
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