Bacillus licheniformis αに由来する耐酸・耐熱性α-アミラーゼ遺伝子の構造解析および発現に関連した以下の研究成果を得た。 1.耐酸・耐熱性α-アミラーゼ遺伝子のクローニング B.licheniformis αのゲノムDNAより、耐酸・耐熱性α-アミラーゼ遺伝子(amy)をコードする3.4kbのDNA断片をショットガン法によりクローニングした。さらに、クローン化した遺伝子の制限酵素地図の作成およびサブクローニングを行った。 2.耐酸・耐熱性α-アミラーゼ遺伝子の大量発現 amy遺伝子を、3種類の発現ベクターpUC19、pET22-b、pNU211と連結し、大腸菌および、Bacillus属細菌での大量発現を試みた。pET22-bに連結されたamy遺伝子は、大腸菌体内で元菌の約24倍のα-アミラーゼを発現した。 3.耐酸・耐熱性アミラーゼ遺伝子のDNA塩基配列決定 amy遺伝子の全DNA塩基配列を決定した。種々の細菌α-アミラーゼの塩基配列と相同性を有するORFは、既知の3菌株のB.licheniformis由来のα-アミラーゼと同様に483残基のアミノ酸および、29残基のシグナルペプチドをコードしていた。他の各々のB.licheniformis起源のα-アミラーゼとの塩基配列およびアミノ酸配列とのホモロジーは約99%であった。 4.耐酸・耐熱性アミラーゼ遺伝子への部位特異的突然変異の導入 非耐酸性α-アミラーゼとアミノ酸配列の異なる領域に着目し、amy遺伝子に、オリゴヌクレオチドを使用して部位特異的突然変異を導入した。得られた変異amy遺伝子の遺伝子産物(変異酵素)の耐酸・耐熱性について現在検討中である。
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