研究概要 |
1.本研究では3種類の材料のリチウム二次電池電極としての検討を行った。第一にLi_xMO_4(x=5または6M=Mn,Co,Fe)の形式をもつ酸化物の合成法の確立を試みた。M=Mnの時にはx=6でありMnの価数が2に抑えられなければならない。このためH_2を1%含むN_2ガス雰囲気下で900℃で焼製すると所望のものが得られた。M=Cの時はH_2より還元力が弱く、N_2よりは還元力が強いという微妙な制御が必要であり最終的に炭素の粉末を混ぜて焼製するという方法でLi_6CoO_4の単一相を得ることができた。M=Feの場合だけx=5の状態が安定でFeの価数も3なのでO_2雰囲気で容易に合成することができた。現在これらの材料の電極特性及び基礎物性を検討している。 2.酸素酸塩系の材料については従来合成に高圧を要したが、簡単な合成法を発見した。また電極特性については2つの多型のうち3次元タイプのβ型の方が2次元タイプのα型よりも分極が小さく、電極としてより優れた特性を示すことを見いだした。この事実は3次元型の構造がリチウムの侵入のによってもほとんど変化しないことと関連している。一方二次元型の方は電解質溶媒も同時に侵入することが大きな分極につながることが分かった。また非金属元素がPよりSの方がリチウムの拡散が速くなることも明らかになった。 3.Li-Cu-O系についてはいくつかの化合物が知られているが、今回はLi_2CuO_2を取り上げ、CuをNiで置換した材料、即ちLiCu_<1-x>O_2を検討した。N_2雰囲気で700℃で焼製するとNiが0.4まで固溶した。またAr雰囲気にすると0.8までNIが固溶するという興味ある結果が得られた。この中でもNi0.4の場合が可逆性に優れており、放電電圧は約3Vで最大300mAhg^<-1>の容量が得られることが判明し、電極材料として有望であることが示された。
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