研究概要 |
アルカリモリブデン酸塩系ガラスは、そのアルカリイオン伝導性から固体電解質、あるいはカソード電極材料への応用が期待される。またモリブデンが遷移金属であることを利用し、電気化学的な酸化還元反応によるエレクトロクロミック表示素子、およびメモリー材料などへの応用も可能とされる。本研究では、アルカリモリブデン酸塩二成分径結晶とガラス化範囲を広げる目的で二成分系にガラス形成剤であるP_2O_5を添加したR_2O-MoO_3-P_2O_5三成分系ガラスについて、アルカリであるRをLi,Na,K,Rbと変化させた場合およびそれらの配合量を変化させた場合の電導度について検討した。結晶試料の電導度はLi系ではR_2O:MoO_3=1:1の組成の溶融法で合成したもの、Na系ではR_2O:MoO_3=1:1の組成の液相法で合成したもの、K系ではR_2O:MoO_3=2:1の組成の固相法で合成したもの、Rb系ではR_2O:MoO_3=1:1の組成の液相法で合成したものについて検討した。各系の300°Cでの電導度はLi系が3.4×10^<-4>、Na系が3.0×10^<-6>、K系が6.2×10^<-7>、Rb系が2.5×10^<-7>(S・cm^<-1>)を示し、電導度はLi>Na>K>Rbの順で電導度が高くなる傾向を示した。各系の電導度はR_2含有量が40mol%の組成で最大値を示した。また、ガラス転移温度はR_2OとP_2O_5の割合を一定にし、MoO_3含有量が40mol%付近で極大値を示した。このことは、MoO_3含有量が増加していくにしたがってガラスの三次元網目構造における架橋密度が高くなり、ガラス転移温度が高温側にシフトし、MoO_3含有量が40mol%付近からガラス転移温度が低下していくのは、MoO_3の層状構造を形成するためであると考えられる。
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