研究概要 |
本実験では,ユリにおける体細胞雑種の作出を最終目的として,タカサゴユリのプロトプラストからの植物体再生に関する検討を行った.まず,子球片から懸濁培養細胞を誘導し,その増殖および分化に最適な培養条件を検討したところ,培養細胞はpicloram存在下では脱分化状態で増殖し,picloram非存在下では不定芽あるいは不定胚を経由して植物体を再生することを明らかにした.この培養細胞は,誘導後2年を経過しても高い増殖・分化能力を維持しており,また染色体数レベルでの変異はほとんど認められていない.次に,糖無添加の培地で培養細胞を1-2週間前処理することにより,活性の高いプロトプラストが高収量で得られることを明らかにした.また,プロトプラストの分裂誘導には,ナ-ス細胞を用いた保護培養の適用が効果的であることが明らかとなった.現在プロトプラスト由来カルスからの植物体再生を検討している.
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