筆者らはすでに、イネいもち病菌ゲノムDNAよりレトロトランスポゾンを分離、クローニングし、MAGGYと命名した。そこでまず、MAGGYが、他のさまざまな植物から分離されたいもち病菌に存在するか否かを検討した。すなわち、さまざまないもち病菌からゲノムDNAを抽出し、Pstlで切断、電気泳動後、MAGGYをプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、本因子はイネ菌、アワ菌、エノコログサ菌には多コピー存在するが、コムギ菌、シコクビエ菌、オヒシバ菌、メヒシバ菌、Digitaria horizontalis菌、およびミョウガ菌には全く存在しないことが明らかとなった。以上のことから、イネ菌はアワ菌ならびにエノコログサ菌と近縁であることが示唆された。 つぎに、いもち病菌集団において未報告のレトロトランスポゾンを探索した。すでに報告されているレトロトランスポゾンの逆転写酵素のアミノ酸配列を参考にプライマーを作成し、さまざまないもち病菌のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行ったところ、未報告のレトロトランスポゾンのものと思われるバンドが検出された。このPCR産物をプラスミドベクターにクローニングし、これをプローブとしていもち病菌ゲノムライブラリーをスクリーニングしたところ、4つのポジティブクローンを得ることができた。現在これらのクローンの解析を行っている。
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