研究概要 |
本研究により、次の研究成果が得られた。 1、RSC-aを種々のプロテアーゼで分解した結果、サーモリシン分解によって、Glu1〜Hyp48(Cys-richドメイン)およびVal49〜Ala302(触媒ドメイン)に分解された。Cys-richドメインは単独でキチン結合し、触媒ドメインの可溶性キチン(グリコールキチン)に対する比活性は、RSC-aのそれと同じであったが、不溶性キチン(コロイダルキチン)に対する比活性は、RSC-cの1/3、つまりRSC-cと同程度まで低下した。 2、RSC-aを2-メルカプトエタノールで還元し、続いてカルボキシメチル(CM)化を行い、部分還元標品をMono-S FPLCを用いて分離した結果、Native RSC-aの他に、1、2および10個のシステイン残基が還元された標品(CM-1,CM-2およびCM-10)が得られた。CM-1およびCM-2についてCM化の位置を同定した結果、CM-1ではCys42が、CM-2ではCys15およびCys42がCM化されていることがわかった。 また、CM-10では、RSC-aのCys-richドメインのCys残基がCM化されていることが推定された。CM-1およびCM-2は、キチンに結合したが、CM-10は結合しなかった。 以上の結果から、RSC-aのCys-richドメインは、触媒活性には必須でないが、それ自身でキチン結合能を有しており、キチンを触媒ドメインに運ぶことによって、キチンに対する水解活性を促進していると結論した。 3、アメリカヤマゴボウ緑葉酸性キチナーゼ(PLC-A)は208残基から成り、分子量は、22,363であり、Cys25-Cys74、Cys89-Cys98およびCys195-Cys208にジスルフィド結合が存在し、Cys176は遊離型であった。 また、PLC-Aは、ライ麦種子クラスII塩基性キチナーゼ(RSC-c)と50%の相同性を有していた。
|