研究課題/領域番号 |
07760076
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
有岡 学 東京大学, 農学部, 助手 (20242159)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 開口放出 / 神経伝達物質 / 調節性分泌 / 生理活性物質 / シナプス小胞 / 細胞内輸送 / 膜融合 / スクリーニング |
研究概要 |
一次検索系としてPC12細胞からのノルエピネフリン(NE)放出阻害を指標とし、カビ2200株、放線菌3600株の培養抽出液の検索を行った。続いて二次検索系としてCa^<2+>イオノフォアであるイオノマイシン(1mM)存在下に同様の実験を行った。再現性よく阻害活性が認められたものについて、さらにATPの放出阻害についても検討した。その結果、カビからの2サンプル(LF11039、LF10512)、および放線菌からの2サンプル(LS8877、LS9940)に顕著な阻害活性を見出した。これについてさらに三次検索系として好中球からのβ-グルクロニダーゼ放出に対する作用を調べた。その結果LF11039、LF10512、LS9940はいずれも強い阻害活性を示したが、LS8877は阻害よりもむしろ若干促進するという結果を得た。このことから、前三者は調節性分泌に共通する過程(おそらく膜融合過程)の阻害剤であるが、LS8877は神経伝達物質の放出に特異的な阻害剤であることが示唆された。またアクリジンオレンジを用いて酸性オルガネラに対する作用を調べた結果、候補物質はいずれも阻害活性を示さず、分泌阻害剤であるコンカナマイシン類とは作用が異なることがわかった。さらに候補物質の毒性をPC12細胞を用いて調べたところ、いずれもNE放出を阻害する濃度で増殖の抑制はみられなかった。この結果は候補物質が調節性分泌に特異的な機構を標的としていることを示唆する。 次に各活性物質の精製を行った。比較的活性の強いLF11039株を大量培養し、菌体から80%アセトン抽出、酢酸エチル転溶後2回のシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、約19mgの淡黄色の結晶を得た。本物質は230、252、320、370nmの各波長に吸収極大を示し、またFAB-MSスペクトル解析の結果分子量が390であることが解った。^1H-および^<13>C-NMR解析から15〜16個の炭素のシグナルが認められ、それらがいずれもSP^2炭素であることが示唆された。LF10512、LS8877、LS9940についても精製を試みている。以上いずれの物質も最終的な構造決定には至っていないことから、引き続き精製・機器分析を行い、活性物質の本体を明らかにしたい。
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