本研究は、RNA酵素の触媒活性を細胞内で補助する蛋白質分子を見い出し、それらの相互作用に関する研究手法を開発することを目的に以下の様な研究を行った。 1.特異的RNA結合性蛋白質検出法の検討を行った。Chlorellaellipsoideaを液体窒素中で破砕し蛋白質を抽出し、種々の濃度でニトロセルロースフィルターに固定した。これを、ジゴキシゲニン(Dig)ラベルしたC.ellipsoideaのrRNA遺伝子中より見い出したグループ|イントロンRNAと26℃でハイブリダイゼーションさせ、抗Dig抗体で検出した。ネガティブコントロールとして子牛血清アルブミン(BSA)を用いた。その結果、抽出した蛋白質試料とBSAとの間には、優位なシグナル強度の差は認められなかったことより、C.ellipsoideaの細胞内に存在するグループ|イントロンRNAに特異的結合蛋白質の量は、極めて微量でありcrude extractの状態では、検出不可能であると結論付けた。 2.次に、特異的RNA結合性蛋白質の精製について検討した。C.ellipsoideaより抽出した蛋白質を硫安沈殿で濃縮い、透析した後、担体としてDEAE-トヨパールを用いたイオン交換クロマトグラフィーによる粗精製を行った。この蛋白質試料を濃縮し、1と同様の方法によりハイブリダイゼーションを行った。しかしながら、ここでも優位なシグナル強度の差は検出できなかった。 以上の結果は、一回のクロマトグラフィーによる粗精製ではRNA結合性蛋白質の濃縮が不十分であり、十分なシグナル強度を示すに至らなかったと思われる。 今後は、蛋白質の処理量を増やし、アフィニティークロマトグラフィーによる精製を検討する必要があると思われる。また、遺伝子レベルでの解析も検討する必要があると思われる。
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