研究概要 |
Altersolanal類は植物病原菌が生産するtetrahydroanthraquinone類である。トマト感染葉より分離したAlternaria solani FY-03株より新規のaltersolanol関連化合物を単離し,それらの抗菌作用・植物細胞毒性のメカニズムを解明した。活性型altersolanol類はミトコンドリア及びミクロソームにおける電子伝達の過程で電子放流系を形成し,そのプロセスでスーパーオキサイドアニオンを生成することが明らかとなった. A・solani FY-03株によるaltersolanol類の光誘導生産について検討したところ,培養初期の光照射に生産促進効果が認められた。また,この光照射は培養開始の一時期で充分であり、連続的な光照射はむしろ生育を抑制した。A・solaniFY-03株は光照射後5〜6日目にalter-solanol類の生産を開始し,光遮断による生産量の減少は認められなかった。短時間の光の認識により生合成過程が活性化されることが推察される。光誘導型のaltersolanol類の生産は同化合物生産菌であるA.solani IFO 7516 や A・porri IFO 9762には認められなかった。現在,この光誘導生産に関与する蛋白の消長に関して追跡中である。 なお,A-solaniFY-03株培養中に,5-methylaltersolanolAや5-methylsulfonylmethylenealtersolanol Aなどの新規の化合物の構造を決定することができた。
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