研究概要 |
当初は、1-(4-methoxyphenyl)-2-(2,4-dimethoxy-6-methoxymethoxy)cyclopenten-3-oneの二重結合の酸化を鍵反応とするロカグラミドの合成を計画していたが、このシクロペンテノンの二重結合は非常に反応性に乏しく、種々の方法を試したが、対応するジヒドロキシ体あるいはエポキシ体を得ることができなかった。そこで他のスキームによるロカグラミド合成法を検討した。 まず、4-Allylanisoleをm-クロロ過安息香酸で処理することにより収率81%で得られる1,2-epoxy-3-(4-methoxyphenyl)propaneとアセトフェノンオキシムとを2等量のブチルリチウム存在下反応させ、高収率(91%)で2-hydroxy-1-(4-methoxyphenyl)-5-phenylpentan-5-one oximeを得た。この縮合物のオキシム部位を三塩化チタンおよび酢酸アンモニウムを用い加水分解することにより76%の収率2-hydroxy-1-(4-methoxyphenyl)-5-phenylp[entan-5-oneとし、このものの2級水酸基をJones試薬を用いて酸化し、1-(4-methoxyphenyl)-5-phenylpentan-2,5-dioneを収率75%で得た。さらにこれを、THF中触媒量(10mol%)のナトリウムエチラートで処理することにより、分子内での脱水縮合を行い2-(4-methoxyphenyl)-1-phenylcyclopenten-3-oneを高収率(99%)で得た。1,3-dimethoxy-5-methoxymethoxybenzeneをブチルリチウムで処理することにより、対応するアリールリチウムを発生させ、上述のシクロペンテノン誘導体への付加反応を試みたが、現在のところ目的の付加物は得られていない。今後は、この縮合反応の条件ならびに縮合物からロカグラミドまでの変換をさらに検討する予定である。
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