研究概要 |
A:ガセリシンAの全アミノ酸一次配列の決定 (1)プロテインシーケンサーより、精製ガセリシンAのアミノ酸一次配列を分析したところ、N末端はブロックされていた。N末端のさまざまなデブロッキング、臭化シアン分解を試みたが成功せず、lysyl endopeptidaseにより初めて、ガセリシンAの内部アミノ酸一次配列15残基(LVQAMAXGALVGTAF, X;未同定アミノ酸)を決定できた。 (2)決定した部分配列より2種類のオリゴヌクレオチドプローブを作成し,L.gasseri LA 39から調製したDNAとのハイブリダイゼーションを試みたが、プローブ(配列上作成が困難であった)の特異性が低く、良好な結果は得られなかった。 B:病原性細菌を含むガセリンAの抗菌スペクトルの測定 (1)ガセリシンAに対する病原性細菌の感受性・非感受性株を検索したところ、当研究室保有菌株由来バクテリオシン中、ガセリシンAが最も広い抗菌スペクトルを有していた。なお、グラム陰性病原菌に対しては、全てその効果が認められなかった。 (2)生育阻害を確認した指標菌(Listeria monocytogenes IID 581)に対して、ガセリシンAの作用機作を調べたところ、溶菌を引き起こすことのない殺菌的作用を閉めた (3)病原性指標菌に対するガセリシンAの抗菌活性単位に菌株間で格差が認められた。 C:ガセリシンAの性質に関する検討 精製ガセリシンAは、pH2から12で安定、60%イソプロパノール中で長期間保蔵可能であった。アルコールなどの有機溶媒に対して耐・溶解性を有していたが、水に対しての溶解性に乏しく、37℃、10日間で、活性は1/4以下に低下した。121℃、20分間の処理により精製ガセリシンAは失活し、精製前とは異なる温度耐性を示した。
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