研究課題/領域番号 |
07760137
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
崎山 高明 岡山大学, 工学部, 講師 (70170628)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 高分子電解質複合ゲル / pH応答型膨潤特性 / キトサン / デキストラン硫酸 / 刺激応答ゲル |
研究概要 |
塩基性多糖類であるキトサンと種々の酸性多糖類から調整される高分子電解質複合ゲルはpH応答型の膨潤挙動を示す。本研究では、その膨潤機構の解明を試みるため、複合ゲルの膨潤平衡に及ぼすpHやイオン強度およびゲル組成の影響について検討を行った。硫酸基を有する酸性多糖類であるk-カラギ-ナンまたはデキストラン硫酸をキトサンと高塩濃度下で均一に混合した後、脱塩して種々の組成の円柱状複合ゲルを調製した。調製した複合ゲルは窒素雰囲気下で希NaOHまたはHCl溶液中に浸漬し、膨潤平衡状態と初期状態の体積比を測定し、平衡膨潤度として比較した。いずれの酸性多糖類を用いた場合にも、複合ゲルは10〜12のpH範囲においてのみ膨潤し、pH10.5で平衡膨潤度は最大となったが、その最大平衡膨潤度は、デキストラン硫酸を用いた場合の方がk-カラギ-ナンを用いた場合に比べてはるかに大きかった。すなわち、これら複合ゲルの膨潤挙動はキトサン分子中のアミノ基の電離特性に由来するものであるが、その相手となる酸性多糖類の分子構造あるいはゲル化能など物性の違いも膨潤特性に大きな影響を及ぼすことが示された。また、デキストラン硫酸濃度の異なる複合ゲルで比較した場合、pH10.5における平衡膨潤度は、硫酸基とアミノ基のモル比が1となる複合ゲルで最大となった。浸漬液にNaClを添加してイオン強度を増加させると、平衡膨潤度が減少すると同時に膨潤の起こるpH範囲が中性側へと移動した。さらに、浸漬液のNaCl濃度を0.17Mまで上げると、複合ゲルはpH7〜8において著しく収縮した。複合ゲル内部のイオン濃度測定結果に基づいてゲル内の有効電荷密度を推定した結果を考え合わせると、以上に述べた複合ゲルのpH応答型膨潤挙動はゲル内の有効電荷に起因する浸透圧と外液の浸透圧とのバランスによって定性的にほぼ説明可能であった。
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