研究課題/領域番号 |
07760151
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小杉 賢一朗 京都大学, 農学部, 助手 (30263130)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 森林土壌 / 土壌孔隙 / 水分特性曲線 / 透水係数 / 対数正規分布 / 水源涵養機能 / 土壌水分 |
研究概要 |
土壌の水分特性は、水分特性曲線と飽和・不飽和透水係数によって表現される。本年度の研究では、土壌の孔隙径分布に対数正規分布を適用することによって、水分特性曲線を表現するモデルを導いた。モデル中の2つのパラメータは、孔隙径分布のメジアンと分布の幅を表している。得られたモデルを300種類以上の土壌に適用した結果、いずれの場合も実測値を良好に再現することが示された。特定されたパラメータを比較したところ、ローム質土壌は砂質土壌に比べて小さな孔隙径分布のメジアンと大きな分布の幅を持つこと、森林土壌はローム質土壌に比べてメジアンが大きく、砂質土壌に比べて分布の幅が大きいという、独特な孔隙径分布を持つことが示された。さらに森林土壌では、土壌構造が「カベ状→粒状→団粒状」と発達するにつれて孔隙径分布のメジアンが大きくなることがわかった。提示された水分特性曲線のモデルを基にして透水係数のモデルが導かれ、その結果、土壌の水分特性を孔隙径分布の統計量のみで表現することが可能となった。 次に、山腹斜面における雨水の浸透・流出過程を、表層土内の鉛直浸透過程と下層土内の斜面に沿った浸透過程に分離し、上記のモデルを用いた一次元浸透の数値計算によって解析した。鉛直浸透過程においては、森林土壌がローム質土壌よりも、ピークが小さく逓減が緩やかなハイドログラフを持つことがわかった。砂質土壌の場合、表層土厚が大きいときは森林土壌よりも逓減曲線が緩やかになり、小さいときにはより急激になった。斜面に沿った浸透過程では、ローム質土壌の場合に最も基底流出量が大きくなった。森林土壌では砂質土壌に比べて、逓減初期の流出量は少ないが、長期的には基底流出量が多くなることが示された。結論として、ローム質土壌の下層土の上に森林土壌化が進んだ表層土を有する山腹斜面の状態が「水源涵養機能」に関して最も有効であることが示された。
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