研究課題/領域番号 |
07760170
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 雅文 京都大学, 木材科学研究所, 助手 (20263155)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 木材 / 圧縮変形 / 寸法安定化 / 水分 / 加熱処理 / 高圧 / X線 / IR吸収 |
研究概要 |
今年度の研究では、密閉熱処理における圧縮変形の永久固定の条件を確立するとともに、強度的性質や材色変化などの他の物性に与える影響を調べた。また、加熱処理(乾燥および膨潤状態での加熱処理)による回復抑制効果発現の機構を明らかにするため2、3の実験を行った。 1)処理条件の確立:密閉熱処理とは、ホットプレスで木材を横圧縮、加熱処理する際に、試験片の周囲をオーリングによって密閉し、木材中に水分を閉じこめて行う高圧水熱処理である。含水率約17%、放射方向の厚さ10〜25mmのスギ試験片に約50%の変形を与えた場合、180℃以上の加熱処理によって、顕著な回復抑制効果が現れた。180℃の加熱では、8分間以上の処理で、変形はほぼ永久固定された。従って、密閉熱処理によって、従来の高温高圧水蒸気処理と同様の回復抑制効果が得られたことになる。全乾状態の試験片では、処理の効果が認められなかったため、本処理に木材中の含有水分が影響していることが明らかであった。変形の永久固定が可能な処理における強度性能(曲げヤング率、曲げ強さ)の変化率は、10%以下であった。また、材色変化(色差)は、約10%であった。 2)圧縮変形の永久固定の機構解明:圧縮変形は、熱または水蒸気前処理によっても固定されたが、その程度は、160〜180℃以上の処理で顕著であった。乾燥および膨潤状態で加熱処理した木粉について、X線回折およびIR吸収を測定したところ、木粉の結晶化指数CIは、処理温度が高くなるに従い、熱処理では減少し、水蒸気処理ではわずかに増加した。また、IRスペクトルの変化から、処理によってカルボニル、カルボキシル基が増加するが、水蒸気処理に比べ、熱処理において顕著であった。これらの結果から、変形が永久固定される機構として、変形した状態でのセルロースの結晶化、リグニン分子の縮合による凝集構造の形成、セルロース、ヘミセルロース、リグニンの低分子化に伴う回復力の解放などが考えられた。
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