研究概要 |
カリブ海産のホヤEcteinascidia turbinataは現在米国で臨床試験が行われているエクテナシディン43をはじめとする抗癌性アルカロイドを産生することが知られている。本研究ではこのホヤの水溶性抽出物が強い抗菌性を示すことから、この抗菌性を指標に水溶性の生理活性物質を単離精製することを目的として研究を進めた。E. turbinataの体液を遠心分離で固形分と分離し、水溶性の抽出物を得た。この抽出物に硫酸アンモニウムを加え、タンパク成分を沈殿除去した後上清を限外濾過しその分子量1000以上の画分を逆相シリカゲルを担体としたHPLCにより分離して、4つの活性画分を得た。最も強い活性を示したEt1-131-1は枯草菌に対して39ng/discという強い抗菌活性を示した。この画分の各種癌細胞に対する細胞毒性を調べた。その結果、マウスの白血病細胞L1210, P388に大して細胞毒性はそれぞれIC_<50>1.5、25ng/mLであった。現在、さらに構造的知見を得るために活性化合物の分離精製を行っている。
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