ここ数年、輸入される生鮮野菜は量・品目とも拡大、調達先も多様化していた。タマネギ、カボチャ、アスパラガス、ブロッコリー、シイタケ、サトイモ、レンコン、ゴボウ、ニンニクなどその品目をあげればきりがない。輸入国は、米国、中国、ベトナム、ニュージーランド、オーストラリアなどである。輸入元は商社、大型小売店、外食産業業者、惣菜店、加工業者などである。こうした、輸入が行われる背景には、人件費が安いうえさらに円高によって価格が安いこと、加工業者などにとっては原料調達が容易でかつ価格変動が小さいことなどがあげられる。タマネギなどの場合には、輸送手段として空調を取り付けた乾燥コンテナを導入したこと、アスパラ、ブロッコリーの場合には鮮度を保つ氷温輸送技術の開発があげられる。また、国内事情として担い手の高齢化とそれにともなう生産力の低下がある。これまで、生鮮野菜は国内生産が干ばつや冷夏などによる不作時、端境期にスポット的取引によって補完的に輸入されるケースが多かった。しかし近年では、日本の種子を現地に持ち込んで技術指導する開発輸入によって通年的に輸入される傾向にある。ただし、これは品目によって異なり、アスパラ、ブロッコリーなどは国産と品質面で十分に対抗できることから輸入時期が周年化している。開発輸入はエビやブロイラーと同様に産地の使い捨てを招きやすく、中長期的視点をもたないと現地とのトラブルを引き起こしかねない。
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