平成7年度に混在化の進む40km^2の面積の流域で、水質・流量調査を1995年5月9日以降定期的に(ほぼ10日に1回の頻度)27回行った。また、1995年8月1日から翌2日にかけて、最下流の地点において連続28時間の1時間毎の水質変動調査も行った。水質測定項目は、pH、EC(電気伝導度)、pH4.8アルカリ度、TN、D-TN、NH_4^+-N、NO_2^--N、NO_3^--N、TP、D-TP、PO_4^<3->-P、Na^+、K^+、Ca^<2+>、Mg^<2+>、CL^-、SO_4^<2->、T-COD_<Mn>、D-COD_<Mn>、SS、溶存SiO_2、紫外線吸光度の23項目であった。調査地点は、本川に沿った11地点と流域内の支川の17地点および下水幹線排出口1地点の計28地点である。クロロフィルの測定は平成7年度後半から開始したが、十分なデータの蓄積には未だ至らない。本研究の中心となる紫外線吸光度は、200nm〜700nmの波長域で0.5nm刻みで測定した吸光度プロファイルを利用した。水溶性の有機物として、溶存態の窒素、リン、CODが中心となるが、これらの項目と紫外線吸光度の間の関係を中心に結果を整理すると、次のような知見を得た。1、当調査流域のような一般の河川では、紫外吸光度プロファイルは特定の極大、極小点を有さず、単調に減少する。2、実質波長が500nm以上では吸光度はろ過試料を用いる限りほぼ0であり、何ら有為な情報を持たない。3、特定波長での吸収と窒素、CODとの相関が従来関連づけられてきたが、今回の結果を見る限り、測定項目と高い相関を有する(相関係数0.8以上)特定波長の吸収は存在せず、有機汚濁との関連づけはできなかった。4、吸光度のプロファイル形状は試料毎に異なり、水質形成を考察する情報として利用できる可能性がある。5、紫外線吸光度プロファイルは測定が簡便であるが、情報量が大きく、データ処理に問題がある。以上の知見のうち、従来紫外吸光度と有機汚濁との間に関連があるといわれてきたが、今回のように、全く有為な関係が見いだせない場合もあることが、最大の知見であった。
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