研究概要 |
これまで開発してきた果実の識別方法により、画像処理を用いてスイカの果実の検出を野外の様々な照明条件下にて果実を検出できるかを調査した。今回は,照明条件として対象果実位置での照度として,レンズの絞りは固定して,これまでの識別方法でどれくらいの範囲について果実の検出が可能であるかを調べた。また,固定絞りでの限界を明確にするため,照度と取り込み画像の平均濃度の関係も調べた。濃度は0〜255までである。実験は固定絞りF5.6で行い,照度は,実際の果実収穫時の照度条件を満たすと思われる約10000〜60000Luxまで行った。 1)照度と平均濃度の関係であるが,F5.6で取り込んだ画像について,約20000Luxまでは,照度に応じて平均濃度が線形に増加しているが,それ以上になると平均濃度の増加が照度の増加に追いつかなかった。つまり,画像平均濃度が225以上はハレーションによる検出の限界といえた。 2)平均濃度の違いによる検出結果の関係であるが,平均濃度が,約60〜225のときは,正しく検出できた。平均濃度が約225以上になると果実以外の葉を誤検出してしまった。 3)平均濃度と検出位置および大きさの誤差の関係であるが,検出位置誤差は平均濃度にあまり左右されないが,検出率は平均濃度が高い程(平均濃度にして200以上)よく,50%以上となった。 以上の結果から以下のことが分かった。固定絞りF5.6の場合,照度にして10000〜20000Luxであると正しく果実検出を行えた、また,画像平均濃度を常に,200〜225の範囲なら検出率,検出誤差ともに実用可能であるといえる。今後,画像平均濃度が200〜225にくるように絞りを調節する機構の開発により,すべての照度についても,正しく果実検出ができるのではないかと予想される。
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