本研究の目的は、青果物の香り濃度を計測して、その内部品質との関係を明らかにすることである。これにより、内部品質の判断指標としての香り濃度の有効性を検証して、さらに、オンラインシステムにおけるセンシング技術としての香りセンサの実用性も明らかにする。 今回は、「章姫」「キングベリ-」の2品種を供試して、香り濃度、糖度、酸度などを計測した。これらの計測データから、香り濃度と糖度、酸度、糖酸比との相関分析、および2品種間の香り濃度平均値の差の検定を行い、以下の結果を得た。 1.香り濃度と糖度、酸度、糖酸比との相関分析 糖度、酸度、糖酸比それぞれに対して、「章姫」「キングベリ-」ともに、弱い相関がある、もしくは、ほとんど相関がないという結果となった。この理由は、香り濃度は全ての香り成分を含んだ量であるためであろう。つまり、特定の香り成分に着目して分析した方が、内部品質に対して、より高い相関となろう。また、実験装置の密封度や体積なども影響しているであろう。 2.2品種間の香り濃度平均値の差の検定 「章姫」「キングベリ-」、2品種間の香り濃度平均値には、有意差がみられた。これは、2品種間の香り濃度の違いを、今回使用した香りセンサで捉えうることを示す。つまり、香り濃度を品質評価の指標とする場合、この香りセンサは判別に有効である。さらに、計測システムを改良することで、オンラインシステムでの判別処理が可能となろう。
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