λZAPIIファージベクターを用いてRuminococcus albusF-40の染色体DNAの遺伝子ライブラリーを作成した。R. albusの培養液よりセルロースへの親和力で得られた蛋白質のN末端配列にはDNAプロープの作成に適したものが得られなかった。そこでライブラリーのなかでセルラーゼ活性を有するクローンをスクリーニングし、得られたクローンについて大腸菌で発現した酵素のセルロース結合能を調べた。この結果7つのセルラーゼ活性を有するクローンから1つのセルロース結合酵素を発現しているクローンを得た。このクローンは大腸菌内での安定性が低く遺伝子全体をクローンとして保持することが困難であった。このためにこのクローンから安定なサブクローンをとり、得られた遺伝子の塩基配列を自動塩基配列決定装置により決定した。この配列から推定される酵素の触媒ドメインの構造とセルロース結合ドメインの構造を疎水性クラスター分析により解析した。その結果本酵素はファミリー9の触媒ドメインとファミリーIIIのセルロース結合ドメインを有することが明らかになった。R. albusにおいて、この触媒ドメインのファミリーとセルロース結合ドメインの存在はこれまでに報告がなく全く新規なものであることが明らかになり、ルーメン最近のなかでセルロースの分解に貢献するR. albusがセルロース結合ドメインを持つセルラーゼ遺伝子を持っていることが証明できた。本遺伝子は大腸菌内での安定性が低く酵素全体の発現にはいたらなかった。今後本遺伝子の全体の解析と各ドメインの詳細な検討を予定している。
|