今回の研究においては小動物のアレルギー性疾患における非特異的及び特異的lgE抗体の測定システムの確立を目的とし、(1)すでに塩基配列の決定されているlgE遺伝子の一部をプローブとして用いたプラークハイブリダイゼーションを行い、lgE遺伝子をスクリーニングし、全塩基配列を決定し、(2)エクソントラッピングシステムを用いてエクソンを取り出した後に、cDNAを作成し、それを発現ベクターに組み込むことによりコンビナントのlgE抗体を作成し、(3)それを用いて抗lgEモノクローナル抗体を作成し、lgEの測定系を確立し、(4)その確立された測定系を用いて、既に皮内検査を実施したアレルギー性疾患患蓄の血清lgEレベルを測定するとともに、その相関性を検証する予定であった。 まずはじめにイヌ及びネコのlgE遺伝子の全塩基配列を決定するべく実験を進めた。肝臓より取り出したDNAをEcoRlを用いて切断し、その断片をファージベクターであるEMBL4に挿入した後、宿主大腸菌であるXL1-Blue MRA(P2)に感染させることによりプラークを作成する。それを、ナイロン膜に転写した後、ニックトレンスレーション法により^<32>Pを標識した450Kbのプローブを用いてハイブリダイゼーションを行い陽性プラークを検出するべく努力をしたが想像以上に困難であり、目的とする遺伝子を得ることはできなかった。このことは採取したDNAサンプルの問題もあると考えられるため、商品として発売されているイヌのゲノムライブラリーを購入し、それを用いて今後もスクリーニングを続けることによりlgE遺伝子の全塩基配列を決定し、当初の目的に添って研究を進めていく予定である。
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