(1)GH4C1細胞におけるMPR(mannose 6-phosphate receptor)の発現解析。 CI(cation independent)およびCD(cation dependent)MPRの発現を解析するために、まずCDMPRの細胞質側領域のペプチドを合成し、これに対するポリクローナル抗体を作製した。そしてこの抗体が、免疫沈降法、蛍光抗体法に使用できることを確認した。RT-PCR、免疫沈降法、蛍光抗体法により、GH4C1細胞におけるMPRの発現を検索した結果、同細胞においてはCIMPRの発現がCDMPRに比して著しく低いことが明らかになった。そしてこのことが、私の見出した現象、すなわち同細胞においてシステインプロテアーゼがリソゾームだけでなく分泌顆粒にも局在し、細胞外へ分泌されることの説明となることが示唆された。また、内分泌系の他の培養細胞株として知られるAtT-20、PC12細胞およびラット下垂体組織にて同様の解析をした結果、PC12細胞ではGH4C1細胞とは逆にCIMPRがCDMPRより発現が強く、AtT-20細胞、ラット下垂体では両者が同程度に発現していることが確認された。このことは組織、細胞により両者の発現様式が異なることを示唆する。 (2)GH4C1細胞へのMPR遺伝子導入。 (1)の結果に基ずき、エレクトロポレーション法を用いてヒトCIMPR遺伝子をGH4C1細胞に遺伝子導入した。安定に発現する細胞株を得るためG418 Sulfateで選択し、蛍光抗体法にて発現を確認することにより、CIMPRを高率に発現するクローンが得られた。現在、この細胞におけるシステインプロテアーゼの局在および分泌動態の解析を行っている過程である。
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