研究課題/領域番号 |
07770020
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小林 直人 順天堂大学, 医学部, 講師 (50234836)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 大動脈 / 血管内膜 / 血管平滑筋 / 内膜平滑筋細胞 / アクチン線維 / 共焦点レーザー走査顕微鏡 / 生体力学 / 動脈硬化 |
研究概要 |
蛍光標識したファロイジンにより大動脈内膜のアクチン線維を染色し、得られた蛍光顕微鏡像をモンタージュとして再構成して、ラット大動脈における内膜平滑筋の分布を可視化した。この結果、以下の結果を得た。1.正常ラット大動脈では、内膜平滑筋は出生時にはほとんど認められず、生後10日ごろから出現が確認される。2.内膜平滑筋細胞の出現する部位はほぼ一定しており、生後発達が進んで内膜において平滑筋細胞の占める面積が増加しても、分布パターンは維持される。分布が顕著に認められる領域は、(1)大動脈弓内側面から胸大動脈前半部の背側面にかけて、(2)胸大動脈後半部から腹大動脈前半部にかけての腹側面、(3)各動脈分岐部の遠位側の縁、であった。さらに、細胞の走行の方向についても、各領域ごとに一定の規則性があった。逆に、動脈分岐部の上流側では、内膜平滑筋細胞の極めて少ない領域が認められた。 また、電子顕微鏡による観察から、以下の所見を得た。3.正常ラット大動脈において、内膜平滑筋細胞と中膜平滑筋細胞は、当初はほぼ同様の表現型phenotypeを示す。4.生後発達が進むにつれて、前者は合成型の表現型を、後者は収縮型の表現型を示すように分化してゆく。 内膜平滑筋細胞は、動脈硬化の発症と密接に関係していると考えられるている。しかし、今回の結果が示す正常ラット大動脈における内膜平滑筋細胞の分布パターンは、当初の予想に反して、よく知られているヒト動脈硬化病変の好発部位とは明らかに異なっていた。 内膜平滑筋細胞の分布は、壁の張力が局所的に大きくなる部位と一致すると思われる。内膜平滑筋は、その収縮により、不均一な張力による局所的な血管壁のゆがみを修正するように機能する可能性がある。(以上の研究結果は、英文の論文にまとめて投稿中である。)
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