研究課題/領域番号 |
07770083
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
中福 雅人 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (80202216)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 神経発生 / 幹細胞 / ニューロン / グリア / 転写因子 |
研究概要 |
哺乳動物の中枢神経系を構成するニューロン及びグリア細胞の多様な細胞系列は、いずれも共通の神経幹細胞より発生すると考えられている。しかしながらこの多能性幹細胞についての細胞あるいは分子レベルでの解析は未だごく限られたものに留まっている。我々は最近ラット胎児脳より多能性神経幹細胞由来の不死化細胞株を樹立し、これを用いて幹細胞よりニューロン及びグリア細胞が発生、分化する過程を試験管内で再構成するモデル系を作成することに世界に先駆けて成功した。本研究はこの細胞株を用いてこれまでその詳細が不明であった多能性幹細胞の増殖と分化の分子機構を解析した。特に幹細胞の分化を制御する分子の候補として、ヘリックス・ループ・ヘリックス型の転写制御因子であるMash1遺伝子に着目し、その発現導態を解析した。特異抗体を用いた免疫染色法及びウエスタン解析法により、Mash1遺伝子産物は幹細胞が分化する過程で一過的に発現が誘導されることが明らかとなった。さらにMash1発現細胞の大部分は幹細胞のマーカーであるネスチンの発現が陰性となり、引き続きニューロンやグリア細胞の分化マーカーを発現するようになることが見出された。Mash1遺伝子の機能をさらに解析する目的で強制発現細胞株を樹立したところ、Mash1の発現により幹細胞はネスチン陰性でしかも種々の分化マーカーを発現していない、特異な細胞へと移行することが明かとなった。しかし、Mash1の発現単独ではニューロンへの分化は起こらず、条件的な分化誘導シグナルを依然として要求していた。本研究によって、中枢神経系においては多能性幹細胞からの分化過程に他段階のステップが存在し、Mash1遺伝子の発現はそのうちの初期過程で出現するこれまでの研究で見出されていなかった特異な細胞のマーカーであることが明らかになった。
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