研究概要 |
申請者はヒト培養細胞においてATP合成酵素γサブユニットの筋組織特異的選択的スプライシングが可逆的に誘導される系を確立し、この筋特異的なエクソン選択には細胞内因子の蛋白合成が必須であることを示した(J. Biol.Chem.269, 12488-12493, 1994)。そのスプライシング調整因子としてRNA結合蛋白が可能性として考えやすい。申請者は選択的スプライシングの誘導前後で遺伝子発現量の変化するRNA結合蛋白遺伝子群のcDNAクローニングを目的とした。 申請者は、まずスプライシング誘導前後の細胞からmRNAを精製し、cDNAを作成した。つぎにショウジョウバエからヒトまでのRNA結合蛋白のRNA結合保存領域に対応するdegenerate primerを用いて、PCRを行いdifferential displayにて誘導後に特異的に存在するRNA結合蛋白cDNA断片をクローン化した。この方法は通常のdifferential displayと異なり、特定のdegenerate primerを用いることにより、より特異的な発現を有する遺伝子群のcDNAクローニングを行なうことが可能である。誘導後に特異的に生じるPCR産物の塩基配列を決定し、アミノ酸の一次配列をコンピュータを用いてデータベースと比較した結果、未知のRNA結合蛋白のであった。RNAブロット法による遺伝子発現量の変化を誘導の前後で検討した結果、得られた遺伝子は誘導後にのみ発現していた。さらに各臓器では、心臓・骨格筋に臓器特異的に発現していた。現在、完全長cDNAをクローニング中である。 RNA結合蛋白
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