研究概要 |
Spinal cord に特異的に発現する新規なPG受容体をクローニングするのを目的に以下の研究をおこなった。 1)Human,mouse,rat PGE1受容体において核酸配列上高い相同性が認められる膜貫通部位のオリゴヌクレオチドを合成した。Spinal cord のmRNAに対してオリゴヌクレオチドを用いてRTPCRおこなった。オリゴヌクレオチドの組み合わせにより電気泳動ゲル上で数本のDNAが検出されたが、Southern blot解析によりPG受容体と相同性を有するバンドはなかった。反応条件を色々と変えてみたが同様であった。 2)推定されたオリゴヌクレオチドとは高い相同性を有していない可能性が考えられたのでSpinal cordのmRNAよりcDNAバンクを作製し、緩い条件でPGE1、PGE3受容体560bpプローブとハイブリダイゼーションをおこなった。150万個のプラークをスクリーニングしたが、PG受容体と相同性を有するプラークは同定せきなかった。Spinal cordでのアンタゴニストONO-NT-012によるアロディニアの低濃度阻害と同様な現象は子宮筋収縮においてもみられ、子宮においてもアンタゴニストONO-NT-012は新規なPGE1受容体の存在を示唆していたが、子宮では100万個のプラーク中1個のPGE1受容体そのものが同定されたのみであった。この事実は、Spinal cordにおいてPGE1受容体そのものが同定されなかったこととあわせ、仮にPGE1受容体以外に新規なPGE1受容体が存在してもその発現が非常に少ないことを意味していると思われる。今後アンタゴニストONO-NT-012によるアロデニアの低濃度阻害が新規なPGE1受容体を介したものであることを他の方法により再確認し研究を進めていきたいと考えている。
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