研究概要 |
糖脂質シアル酸転移酵素は膜内在性の酵素であること、抽出した酵素が不安定であること、活性測定が煩雑であることなどから、精製の成功しているものは数少なく、その生化学的性質はあまり分かっていない。本研究では、前年度新たに開発した簡便な糖脂質シアル酸転移酵素活性測定法を用いて、ガングリオシドGM3合成酵素の単離精製を試みた。 精製材料を検討したところ、GM3合成酵素は豚顎下腺に比較的豊富に含まれていることが分かり、よって豚顎下腺を用いて精製を試みることにした。各種アフィニティークロマトグラフィーを検討したところ、P11 Phosphocellulose, Blue Sepharose, ConA S epharose, LacCer固定化カラムの順で効果的に精製でき、比活性をそれぞれで約5,3,5,30倍上げることができた。完全精製には10万倍以上の精製度が要求されることが予想され、ビオチン化LacCerを使った新しい精製法を検討した。酵素基質であるLacCerのビオチン化にはNHS-SS-Biotinを用いた。アルカリ処理によりLacCerのリゾ体をつくり、有機溶媒中でNHS-SS-Biotinと反応させた。ビオチン化LacCerは逆相カラムを使ったHPLCにより精製した。精製したビオチン化LacCerはGM3合成酵素の良い基質になった。現在、GM3合成酵素とビオチン化LacCerの複合体を形成させアビジンカラムにより精製する条件を検討している。
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