研究課題/領域番号 |
07770114
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
人見 嘉哲 国立がんセンター, がん治療開発部, 研究員 (70231545)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / レトロウイルスベクター / スプライシング / U1snRNA / スプライシング異常 |
研究概要 |
スプライシング異常を呈する長瀬無アルブミンラット(NAR)に対してレトロウイルスベクターにより塩基置換U1snRNAを恒常的に発現させ、異常スプライシングを抑制することを目的として実験を進めた。1)U1snRNA発現レトロウイルス産生培養株は、長期培養後、3回の凍結解凍後でもウイルスを安定に産生し続けた。得られたウイルス力価は、1x10^6以上であり超遠心法により最大30倍に濃縮する事ができた。 2)U1snRNA発現レトロウイルスを線維芽細胞株に低M.O.I.(0.01)にて感染させG418添加培地選択耐性株を得ることができた。細胞株の形態、増殖能、接触阻止能、自然形質転換細胞の出現頻度、及びペトリ皿での飽和細胞数について親細胞株と比較し変化を認めなかった。導入されたU1snRNA遺伝子のアルブミンミニ遺伝子mRNAスプライシングに対する活性は、一過性発現系に比較して約1/40程度であった。導入されたU1snRNA遺伝子が数コピー以下である事から、一過性発現系と同程度の効果を得るには、10コピー以上の遺伝子導入が必要であると考えられた。得られた細胞株に、ウイルスを重感染させU1snRNA遺伝子コピー数を増加させ観察中であるが、細胞学的変化を見ていない。 3)次に、NAR初代肝細胞を分離し塩基置換U1snRNAレトロウイルスを感染させ、アルブミン蛋白質の発現誘導を免疫染色法にて検討した。しかしながら、アルブミン蛋白質の染色性には著変を認めなかった。アルブミン産生が細胞調製後早期に減少していくこと、細胞当たりのウイルスコピー数の導入効率が低いことが原因として上げられる。また、in vivoで肝臓に対して門脈より濃縮ウイルスを注入したが、血清アルブミンの増加は検出されなかった。以上より、塩基置換U1snRNAレトロウイルスベクターの安定性と、塩基置換U1snRNAを細胞内で恒常的に発現させられることが分かった。
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