研究概要 |
【材料】Castleman病15例(硝子血管型12例,形質細胞型3例)の切除標本から作成されたホルマリン固定パラフィン包埋ブロックを用いた.病例は10才から60才までの男性5例,女性8例である.いずれの症例もlocalized typeで,形質細胞型3例では全身症状を合併していなかった.コントロールとして外科的に摘出された扁桃,アデノイドをそれぞれ3例使用した. 【方法】アポトーシス発現の検出にTdT-mediated dUTP-digoxigenin nick end labeling (TUNEL)法(ApopTag,Oncor社)を,Ki-67(MIB-1),bcl-2蛋白,p53蛋白の発現についてはmicrowaveによる抗原賦活を行ってから,biotin-streptavidin法を用いてそれぞれ行った.TUNEL陽性細胞とMIB-1陽性細胞を同定するため,CD20(L26),CD3,CD68,CD34に対する抗体を用いて二重染色を行った.bcl-2遺伝子発現をみるため,組織in situ hybridizationも試みた. 【結果】TUNEL陽性細胞及びMIB-1陽性細胞は濾胞内胚中心に多く存在しており,濾胞間にも認められた.bcl-2蛋白は萎縮性胚中心を取り囲む肥厚したmantle zoneの小リンパ球の核膜周囲並びに細胞質に陽性を認め,濾胞間の小リンパ球にも散見された.p53蛋白については検索した全例において明らかな陽性細胞は認められなかった.二重染色ではTUNEL陽性細胞はCD20,CD3,CD68陽性のものが認められ、濾胞内では少数のCD20^+細胞とCD68^+細胞が比較的多く存在しており、濾胞間ではCD3^+細胞がCD68^+細胞よりも多く存在していた.Ki-67(MIB-1)陽性細胞では濾胞内及び濾胞間でCD20^+やCD68^+のものが少数散見されたが,Ki-67(MIB-1)陽性を示す濾胞内の大部分の細胞は使用した抗体には反応していなかった.染色結果については硝子血管型と形質細胞型で著明な違いは見られなかった.bcl-2遺伝子のin situ hybridizationについては手技的な問題から解析できる結果が得られなかった.以上の結果から,Castleman病においてアポトーシスと細胞増殖の盛んな胚中心とそれを取り囲むbcl-2陽性のリンパ球が血管増生を含めた腫瘤形成に深く関与している可能性が示唆された.今後血管増殖因子の局在などの検索が更に必要であると考えられた.
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