研究課題/領域番号 |
07770125
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
法木 左近 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (30228374)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 大腸 / 腺腫 / 腺腫内癌 / 染色体分析 / 染色体 / DNAプローブ / 染色体特異的DNAプローブ |
研究概要 |
初期癌といえる腺腫内癌(cancer in adenoma)細胞の染色体分析は、従来の方法では、不可能である。腺腫内癌は、生検やポリベクトミ-で診断されるため、培養は不可能だからである。また、腺腫内癌の診断、特にその断端については、患者の治療方針を左右するため、一部と言えども研究用に用いるのは倫理的にも問題がある。従って、腺腫内癌細胞の染色体異常の有無について検討するためには、診断に用いた病理組織標本で出来なければならない。この点、我々が開発してきた方法はこれを満たすものである。今回、申請した研究の目的は、従来不可能であった大腸の腺腫内癌細胞の染色体数的異常について検討することである。材料は、ポリペクトミ-により得られた腺腫内癌5例で、方法はすでに我々が報告してきた方法に従った。用いたプローブはビオチン化された7番・11番・17番染色体特異的プローブを用いた。その結果、正常上皮および浸潤炎症細胞核では核一個あたりシグナルは最大2個までであり、各プローブに特異的なシグナルであると思われた。核一個あたり3個以上のシグナルを有する数的異常細胞の割合は、17番染色体では、腺腫細胞は6.38%、腺腫内癌細胞は7.71%と差はあまり認めないが、場所によっては11.86%と高値を示した。7番染色体では、腺腫細胞は12.50%、腺腫内癌細胞は16.83%であった。11番染色体は他のプローブよりもシグナルが出にくく検討できた症例が2例と少なかったが、腺腫細胞は9.50%、腺腫内癌細胞は5.35%であった。17番染色体に関して、腺腫細胞と腺腫内癌細胞とでは数的異常細胞の割合に有意差は認めないが、マッピングにより、腺腫内癌では部分的に数的異常細胞の多い領域があり、プログレッションを反映しているものと思われた。7番染色体では、腺腫細胞でも数的異常細胞の割合が多く、すでにトリソミ-を呈していると思われた。11番染色体では今回症例が少なく結果の解釈には注意が必要と思われた。腺腫内癌の腺腫細胞でもすでに腺腫内癌細胞と同等の染色体数的異常を呈していると思われた。以上の結果は、第85回日本病理学会総会(東京)にて発表予定である。
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